google.com, pub-2410791026450572, DIRECT, f08c47fec0942fa0 episode of Zato 第1部「新しい風、りんた」—レストランに現れた後輩 キャラクター小説編(長編ストーリー)

【episode of Zato】外伝 第1部「新しい風、りんた」

キャラクター小説編(長編ストーリー)

「新しい風、りんた」

後輩誕生

昼のピークを過ぎたレストランの厨房。

油の匂いと食器の音に混じって、聞き慣れない声が響いた。

「おっす!今日からお世話になりまーす!りんたっす!」

茶色がかったチリチリのツイストパーマ、元気すぎる声。

新しく入った後輩――りんた。

「俺、料理学校出てるんで〜。包丁とか、任せてもらって大丈夫っすよ」

チャラい口調で胸を張る。

(なんだコイツ……)

アツキは思わず眉をひそめた。

ざとはふっと笑って、いつもの調子で答える。

「頼もしいね。よろしくお願いします」

(優しすぎんだろ……お人好しかよ)

アツキは内心で舌打ちした。

初日の大失敗

「えーっと、この火力でいっすよね?……あ、あれ?ちょっと焦げてない?」

ジュワァァァ……!

フライパンから煙が立ち上る。肉は真っ黒。

「ちょ、待て!何やってんだ!」

アツキが慌てて火を止める。

「す、すんません!マジやべっ……」

その時――

「バカヤロォーーッ!!!」

雷のような声が飛んだ。

怒りの源はもちろん、この店の鬼シェフ――加藤だった。

「焦がした肉を出す気か!金をドブに捨てるつもりか!貴様は料理学校で何を学んだ!?」

「す、すみません!!」

りんたは顔面蒼白、肩をすくめて震えている。

厨房の空気は一気に凍りついた。

アツキ(……ざまぁって言いたいけど、この雰囲気やべぇな)

ざと:「……りんた。次は気をつければ大丈夫やで」

静かにかけられたざとの言葉は、ほんの少しだけ空気を和らげた。

 翌日

「よし、仕込みは俺に任せてくださいよ!」

気合いを入れ直したりんた。だが――

「おい……これ、分量倍になってんじゃねぇか!?」

アツキが青ざめる。

りんたは硬直。

「え、え?……マジっすか?」

50人分のスープの仕込みを――100人分にしてしまっていた。

「貴様ァーー!!」

再び響く加藤シェフの怒号。

「頭を使え!料理は勢いでするもんじゃない!」

りんた:「す、すみませんっ!」

涙目になりかけたりんた。

その時、アツキが即座に口を開いた。

「……半分は明日の分に回せばいいじゃないですか!捨てる必要はないです!」

ざともすかさずフォロー。

「調味料を調整すれば、まだ十分に使えます。シェフ、時間にも間に合います」

二人の声に、加藤シェフは渋い顔で黙り込む。

「……やってみろ」

必死の連携作業の末、何とか危機は回避された。

ラスト

営業後。

厨房に残って片付けをしていたりんたが、ぼそっと呟く。

「……また迷惑かけたのに、なんで助けてくれるんすか?」

アツキ:「りんたが潰れたら仕事が回らねぇだろ」

ざと:「仲間だからね」

りんたは唇を噛み、そして小さく笑った。

「……二人って、マジですげぇな」

その目には、昨日までのチャラさとは違う色が宿っていた。

――まだ尊敬とまではいかない。

けれど確かに「見直す」気持ちが芽生えていた。

次回予告

営業が終わった深夜。
裏口にたむろするのは、煙草をくゆらせる二人の先輩。
そこに加わろうと背伸びをするりんた。

だが待っていたのは、むせ返る煙と、思わぬ“本音”の会話だった――。

episode of Zato 第2部「煙の向こうに」—息が合う理由

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